内面の充実を大切にした90年代の誕生日デート

投稿日 2014年10月07日


お金から心の時代へ

内面の充実を大切にした90年代の誕生日デート

バブルの崩壊とともに幕開けした90年代。総務省の家計調査を見ると、90年代の消費性向は2000年を過ぎる頃まで低迷が続いています。そして、バブルでのぼせた頭に冷水を浴びせるように、1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災で人々はにわかに目を覚まします。

「バブル時代が異常だったのであって、今はそれが普通に戻っただけ」。

幸いにも震災の被害を受けなかった人々は「普通」に暮らせることの幸せをかみしめます。被災地ではボランティア活動が活発化し、それまでお金に翻弄されていた日本人が、お互いの心の結びつきがどれだけ大切か再認識する契機となりました。

「お家デート」が一般化

ちょうどこの頃に携帯電話が普及しはじめ、電話は家庭に1台の時代から個人に1台の時代に移行していきます。カップルは逢えない時間も携帯電話でお互いの気持ちをつなぎあい、ゆっくり逢える休日にはどこにも出かけず家で好きなDVDを見たりしてのんびり過ごす「お家デート」が一般化しました。

見栄を張ってお金を使うことが幸せなのではなく、好きな人と一緒にいて好きなことをしているのが幸せ。まるでバブル期を反省するかのように、そんな新しい価値観が若者の間に浸透していきました。

特にバブル期の全盛期にまだ子どもだった人たちが青春期を迎えた90年代後半には、バブル期には考えられないくらい質素で素朴なデートが一般化していきます。

カジュアルブランドが注目を集める

この時代のファッションで注目を集めたのが、低価格帯のカジュアルブランドです。またバブル期に一世を風靡したDCブランドもバブル後の社会に適応し、低価格で高品質かつハイセンスなラインを発表しはじめました。

バブル期の頃にはブランドの価値を値段で判断していた人たちもそれなりに膨大な消費を通じて感覚が洗練され、「手頃な値段でコストパフォーマンスの高いオシャレを楽しむ」という新しいスタイルをすんなり受け入れていきます。また、あえて廃番やB級品を安値で扱う(現在はB級品というより過剰在庫の処分やアンテナショップ的役割を果たす店が主流ですが)アウトレットストアが人気を集めるようになったのもこの頃からです。

安くても「本当に良いもの」を選ぶセンス

お金から心の時代へ

80年代の誕生日デートでは「使った金額=愛の深さ」であるかのような価値観が結構通用していたのに対し、90年代の誕生日デートは、限られた予算でできるだけ満足度の高い経験をするための「センスの良さ」が求められるようになったのではないでしょうか。まだインターネットによる情報収集には限界がありましたが、その分街にはガイドブックや情報誌があふれ、「相手を喜ばせたい」という強い思いさえあればグルメでもショッピングでも情報は豊富に集めることができ、そんな情報の山からひとつのプランを厳選するセンスに価値が見出されるようになりました。これも「人間の内面の充実」を大切にするようになった90年代の大きな特長といえるでしょう。